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岡耕平先生のコラム

 

 
11月4日(金)更新
 長男を保育園に送って行った際に、ひと月ほど前から長男は振り返りもせず園の中に入って行くように
なった。それまでは泣いて嫌がっていたのに。同時期に、連絡帳のコメントに、最近友達とうまく付き合える
ようになってきた旨が増えてきた。親としては少しホッとしている。 メンバーとしてちゃんと受け入れられるか
否かで、その場所、集団に対する気持ちが180度変わってしまう。受け入れられなければただの苦痛、受け
入れられれば楽しい空間。 受け入れられない子は、ずっと苦痛。一番いい距離感をみつけて、それを
メンバー全員が認めるということができればいいのだけれど。Eテレのおかあさんといっしょでともだち8にん
ってコーナーがあるけど、あれに出てくるボッチくんの参加の仕方はすごくいいと思う。 ボッチ君は普段は
木の下で好きな本を読んだりして 一人で自由な時間を過ごしている。でも、ずっと一人でいる訳ではない。
 
みんなが楽しそうにしていると、それが気になる。楽しそうだなあ、自分も仲間に入りたいなあと思う。そして
その遊びに興味があるよっていうそぶりをする。そうすると仲間は、ボッチ君に遊びに入るように声を掛ける。
そうしてボッチ君は仲間に加わる。 これは何気ないシーンなんだけど、こんなことが当たり前のようにみんな
できたらどれだけ素晴らしいことかと思う。それぞれの距離感をおたがいに認めて友達としてつながる。
 
文化人類学、そして心理学の専門的な概念として「正当的周辺参加」 というものがある。ものすごく大雑把
にいうと、人間の学びに必要なものは、正式にメンバーに入ることだ、という考え方である。ちょっとした手伝い
でもいいから、正式にメンバーに入って、徐々にメンバーとして役割を請け負うようになることで学びが生じる
という考え方だ。この考え方を拡大解釈すると、メンバーとしてではなく、お客さんのうちはどれだけ役割が
あってもダメだということになる。 翻って、障害のある子どもについて考えるとき、私たちは子どもをお客さん
として扱ってはいないだろうか。お客さんとして扱いながら、彼らに成長を期待しすぎてはいないだろうか。
役割は人を成長させる。たとえそれが子供であっても。療育について考える以前に、正式に活動に参加できる
ようにするという視点を忘れてはいけないだろう。

 

 

 

 【プロフィール】

  岡 耕平先生(oka kouhei)

   博士(人間学)、滋慶医療科学大学院大学医療管理学研究科 助教。

   日本学術振興会特別研究員、東京大学先端科学技術研究センター

  人間支援工学分野、特任助教を経て平成23年4月から現職。現場

  活動の経験をふまえて、テクノロジーを活用した学習や就労などの

  様々な具体的支援について日夜研究している発達障がい児・者の

  スペシャリストです!!

岡耕平先生

 

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